佐藤行政書士事務所 043-304-6453
不特定多数の人を相手に、宅地建物に関する取引業務を反復継続して行う場合に宅地建物取引業の免許が必要になります。
具体的には次の場合に免許が必要となります。
①.自己所有物件の売買
②.自己所有物件の交換
③.他人所有物件の売買代理
④.他人所有物件の交換代理
⑤.他人所有物件の賃借代理
⑥.他人所有物件の売買の媒介
⑦.他人所有物件の交換の媒介
⑧.他人所有物件の賃借の媒介
①.都道府県知事免許
一つの都道府県内にのみ事務所を置いて宅地建物取引業を営む場合に必要な免許です
②.国土交通大臣免許
複数の都道府県に事務所を置いて宅地建物取引業を営む場合に必要な免許です
次のいずれか一つに該当している場合は、免許を受けることができません。
①.免許の不正取得、業務停止処分後5年を経過しないもの
②.免許の不正取得、業務停止処分違反をした疑いがあると判断され、聴聞公示後に廃業届を提出し、その提出日から5年を経過しないもの
③.禁錮以上の刑を受け、刑の執行が終わった日又は執行猶予満了日から5年を経過しないもの
④.宅建業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、暴力行為等処罰に関する法律、刑法204条(傷害)・206条(現場助勢)・208条(暴行)・208条の2(凶器準備集合)222条(脅迫)・247条(背任)に違反したことにより、罰金刑を受け、刑の執行が終わった日又は執行猶予満了日から5年を経過しないもの
⑤.免許申請前に、宅地建物取引業に関して不正、著しく不当な行為をしてから5年が経過しないもの
⑥.成年被後見人、被保佐人となっているもの、又は破産者で復権を得ないもの
⑦.宅地建物取引業に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明かな場合(暴力団構成員等)
⑧.事務所に専任の宅地建物取引士を設置していない場合
①.商業登記されている本店又は支店を指します。
②.個人事業者の場合も含め、商業登記をされていない営業所を指します。
③.協同組合等については、主たる事務所又は従たる事務所を指します。
【事務所に関する注意点】
a.本店で宅建業を営業しなくても、支店や営業所で宅建業を営業する場合は、本店についても「事務所」として扱われます。この理由は、本店で宅建業に関する営業活動を行っていなくても、支店や営業所で行う宅建業に関して、総務・経理・人事などの労務管理といった中枢的な管理統括機能を果たしているからです。
従いまして、後ほどご説明する「営業保証金の供託」、「専任の宅地建物取引士の設置」が宅建業を営業しない本店でも必要になります。
b.登記されている支店であっても、宅建業を営業しない支店は「事務所」として扱われません。
①.机、椅子、電話、FAX、コピー機(複合機)、応接セット等があり、事務所として業務が行えるものでなければなりません。
②.同じフロアー内に他の会社と同居している場合は、出入口が別々にあり、壁で区切られているか、高さ180cm以上の固定式パーティション等で明確に区切られていなければなりません。
同じ部屋に他の会社が同居している場合は、明確に区切られている他、出入口も別である必要があります。
③.戸建て住宅の一部を使用して事務所として使用する場合は、住居部分の出入口とは別に、事務所専用の出入口(外部と直接出入りする部分も含む)が設けられている必要があります。
④.仮設建築物は原則として事務所とは認められません。
①.宅地建物取引士証の交付を受けている者であること。
②.事務所に常勤している者であること。
③.一つの事務所毎に、宅建業に従事する者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士がいること(後述の注記:「宅建業に従事する者の範囲について」をご参照)。
※:宅建業に従事する5名には、専任の宅地建物取引士が含まれるので注意して下さい。
④.10区画以上の1団の土地、10戸以上の1団の建物の分譲について、案内所を置いて行う場合は、1名以上の専任の宅地建物取引士を置いていること。
なお、次に該当する場合は、専任の宅地建物取引士とは認められません。
a.事務所から常識的な通勤時間を大幅に超える所に住所がある場合
b.申請をしようとする会社の監査役に就任している場合
c.他の会社の代表取締役や常勤取締役に就任している場合
d.他の会社に勤務している場合や、他の事業に従事している場合
e.専任か非専任かに関係なく、他の宅地建物取引業者で宅地建物取引士として勤務している場合
【注記:宅建業に従事する者の範囲について】
次の者は、いずれも宅建業に従事する者になり、事務所毎に置く専任の宅地建物取引士の人数を算出する際の基準となります。
ア.常勤の代表者(代表取締役や個人事業主)
イ.常勤の取締役(但し、宅建業以外の業務を主として担当する取締役は、宅建業に従事する者には該当しない)
ウ.宅建業の営業担当者
エ.宅建業のみ営業している場合で、一般管理部門(経理・事務・総務等)のみの業務を行う者
(※.宅建業以外の業務も行っている場合で、一般管理部門のみの業務を行う者については、宅建業を主として行っている場合は、宅建業に従事する者に該当する)
オ.宅建業の部門に所属し、宅地建物取引に直接的な関係が乏しい業務(秘書、受付、運転手等)に常勤で従事する者
宅建業を営業する場合、営業保証金が必要となります。
営業保証金として認められているのは次の2通りとなっています。いずれかを選択して下さい。
①.供託
②.保証協会へ加入
主たる事務所(本店)を管轄する法務局に次の額を供託して下さい。
主たる事務所(本店)は、1,000万円
従たる事務所(支店・営業所)は、1箇所当たり500万円
【供託を選択した場合の注意事項】
a.現金の他、国債、地方債、公社債でも供託は可能です。但し、民間企業の株式、社債は認められていません。
b.国債等には償還日が設定されており、償還日の翌日から10年で消滅時効をむかえます。消滅時効をむかえてしまった場合は、国債等を発行した国や地方自治体等に帰属することとなるので、営業保証金が不足する状態になってしまいます。
消滅時効をむかえる前に、新たに現金を用意するか、他の国債等で供託の差し替えを行って下さい。
また、供託をする前に、国債等の写しをとり、償還日を把握して下さい。
次のいずれかの保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付します。この方法を選択した場合は、別途、供託する必要はありません。
a.(公社)全国宅地建物取引業保証協会
b.(公社)不動産保証協会
弁済業務保証金分担金の額
主たる事務所(本店)は、60万円
従たる事務所(支店・営業所)は、1箇所当たり30万円
【保証協会加入を選択した場合の注意事項】
i.aの保証協会に加入する場合は、併せて(社)全国宅地建物取引業協会に加入することとなります。bの保証協会に加入する場合は、併せて(社)全日本不動産協会に加入することとなります。
ii.どちらの協会を選択する場合でも、上記の分担金の他に入会金などがかかります。
供託に比べ4分の1程度の額で済みますが、およそ250万円程度かかります。
また、入会には審査が行われ、審査日数がかかります。
スムーズに営業開始ができるよう事前に協会へ入会申請書の受付締切日、入会にあたり必要な要件や詳細額を確認なさって下さい。
【千葉県の保証協会連絡先】
a.(公社)全国宅地建物取引業保証協会千葉県本部
電話043-241-6671
b.(公社)不動産保証協会千葉県本部
電話043-202-7511
千葉県内に主たる事務所(本店)を置いて申請するケースを例にしてご説明します。
千葉県知事免許(供託の場合・保証協会加入の場合)、国土交通大臣免許(供託の場合・保証協会加入の場合)毎に分けて、ご説明します。
2024年5月25日以降に、大臣免許申請を行う場合は、国土交通省 関東地方整備局へ直接、郵送又は電子申請で申請書類を提出することになります。
大臣免許申請については、2024年5月25日以降の申請から、都道府県庁経由で提出するのではなく、主たる事務所を管轄する国土交通省 地方整備局へ直接、申請書類を提出することになります。
免許申請書の提出から営業開始までのフローは、こちらでご確認下さい。
供託による場合のフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
免許申請書の提出から営業開始までのフローは、こちらでご確認下さい。
保証協会加入による場合のフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
2024年5月25日以降に行う免許申請からは、千葉県庁経由で提出するのではなく、国土交通省 関東地方整備局へ直接、郵送又は電子申請で提出することになります。
供託による場合のフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
2024年5月25日以降に行う免許申請からは、千葉県庁経由で提出するのではなく、国土交通省 関東地方整備局へ直接、郵送又は電子申請で提出することになります。
保証協会加入による場合のフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
免許の有効期間は5年です。引き続き宅建業を営む場合は、知事免許、大臣免許とも免許有効期限満了日の90日前から30日前までに申請書を提出して下さい。
申請先は、知事免許業者については、主たる事務所がある都道府県庁の担当部署へ提出し、大臣免許業者については、2024年5月25日以降の申請から、都道府県庁経由で提出するのではなく、主たる事務所を管轄する国土交通省地方整備局へ直接、郵送又は電子申請で申請書類を提出することになります。
《注意事項》
事務所毎に「宅地建物取引業者票」、「報酬額表」が掲示されている写真を提出することとなります。
また、「宅地建物取引業者票」、「報酬額表」とも、事務所内の見やすい場所に掲示してある必要もあります。
「宅地建物取引業者票」に記載すべき事項は正しく記載されているかどうか申請前に確認して下さい。
「報酬額表」は、最終改正後のものかどうか申請前に確認して下さい。令和5年12月現在、最終改正されたものは「令和元年8月30日 国土交通大臣告示第493号」になっています。
都道府県知事免許から国土交通大臣免許、国土交通大臣免許から都道府県知事免許、現在受けている都道府県知事免許から他の都道府県知事免許に書き換える申請のことです。
これらの申請を行いますと免許番号が変更になります。
協会に加入している事業者で、千葉県に申請するケースを例にして説明します。
2024年5月25日以降に行う免許申請からは、千葉県庁経由で提出するのではなく、国土交通省 関東地方整備局へ直接、郵送又は電子申請で提出することになります。
保証協会加入を前提としたフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
免許申請書の提出から営業開始までのフローは、こちらでご確認下さい。
保証協会加入を前提としたフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
免許申請書の提出から営業開始までのフローは、こちらでご確認下さい。
保証協会加入を前提としたフロー
注:記載している期間は、あくまで目安です。補正があった場合などの審査状況により変わります。
①.都道府県知事免許申請:個人事業者・法人とも審査手数料として33,000円
②.国土交通大臣免許申請:個人事業者・法人とも登録免許税として90,000円
2024年5月25日以降の大臣免許申請では、直接、国土交通省 地方整備局へ提出することになるため、次の順序で登録免許税を納付し、申請書を提出することになります。
①.銀行や郵便局を通じて、提出先である地方整備局の所在地を管轄する税務署へ登録免許税を納付する。
②.登録免許税納付後に、領収印がある納付書の原本を免許申請書に添付して、管轄の地方整備局へ提出する。
①の具体例
茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野のいずれかに、主たる事務所がある大臣免許申請は、提出先が関東地方整備局となります。この関東地方整備局の所在地を管轄する税務署は、浦和税務署です。
従いまして、関東地方整備局へ提出する場合は、浦和税務署あてに90,000円の登録免許税を納付することになります。
①.都道府県知事免許申請:個人事業者・法人とも審査手数料として33,000円
②.国土交通大臣免許申請:個人事業者・法人とも収入印紙で33,000円
①.都道府県知事免許から国土交通大臣免許への免許換え申請
個人事業者・法人とも登録免許税として90,000円(前述の「新規免許申請の場合」をご参照)
②.国土交通大臣免許から都道府県知事免許への免許換え申請
個人事業者・法人とも審査手数料として33,000円
③.他の都道県知事免許への免許換え申請
個人事業者・法人とも移転先の都道府県審査手数料として33,000円