佐藤行政書士事務所 043-304-6453
建設業法でいう建設業とは、建設工事の完成を請け負う営業を指します。
「建設工事」の定義は、「建築物や土木工作物を作る又は解体する、或いは加工・取付などの作業を通じて、それらに機能を付加するなどの要素を含んだもの」となっております。
次の業務は、このような要素を含んでおりませんので、建設工事には該当しません。従いまして、建設工事に該当しないものについては、後ほどご説明する経営業務管理責任者としての経験や、専任技術者の実務経験として認定はされません。
《建設工事とは認められないもの》
・自社で施工する建売住宅の建築
・建設現場への労働者派遣
・樹木の伐採、剪定、草刈り、薬剤散布
・道路清掃、建築物の清掃(ハウスクリーニング)
・設備・機器などの保守管理、点検業務
・建設機械、建設資材、土砂等の運搬
・船舶・航空機などの土地に定着しない工作物の建造
・建設資材の納入
・工事現場の養生
・トラック、建設機械などのリース
建設業を営む場合で、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は建設業の許可を受ける必要はありません。
「軽微な建設工事」の内容
建築一式工事:(1)か(2)のいずれかに該当する工事
(1)1件の請負額が消費税込みで1,500万円未満の工事
(2)延べ床面積150平方メートル未満の木造住宅工事
建築一式工事以外の工事:1件の請負額が消費税込みで500万円未満の工事
軽微な建設工事の請負額について
・一つの工事を2つ以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負額の合計額をいいます(工事現場や工期が明らかに別であるなど正当な理由に基づいて分割した場合を除く)。
・注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格及び材料の運送費を、当該請負契約の請負代金の額に加えた額をいいます。
全部で29種類あります。
許可業種の略称と工事内容について(平成28年11月1日施行版)
略称 | 工事の種類 | 工事内容 | 工事の例示 |
---|---|---|---|
土 | 土木一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事 | 橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道、区画整理、道路・団地等造成(個人住宅の造成は除く)、公道下の下水道(上水道は除く)、農業・灌漑水道工事を一式として且つ元請けとして請け負うもの |
建 | 建築一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 | 建築確認を必要とする新築及び増改築工事を元請けとして請け負うもの |
大 | 大工工事 | 木材の加工又は取付により工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付る工事 | 大工工事、型枠工事、造作工事 |
左 | 左官工事 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又は、はり付ける工事 | 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事 |
と |
とび・土工・ |
① 足場の組立、機械器具・ 建設資材等の重量物の運 搬配置、鉄骨等の組立、
注:「工作物の解体」の削除は、平成28年6月1日から適用 |
① とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立工事、コンクリートブロック据付工事、
注:「工作物解体工事」の削除は、平成28年6月1日から適用
|
石 | 石工事 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取り付ける工事 |
石積み(張り)工事、 |
屋 | 屋根工事 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 | 屋根ふき工事、屋根一体型の太陽光パネル設置工事 |
電 | 電気工事 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 |
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備含む)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事(避雷針工事) |
管 | 管工事 | 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 | 冷暖房設備工事、冷凍冷蔵庫設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事 |
タ |
タイル・れんが・ |
れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付、又ははり付ける工事 | コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事 |
鋼 | 鋼構造物工事 | 形鋼、鋼板等の加工又は組立により工作物を築造する工事 | 鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事 |
筋 | 鉄筋工事 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組み立てる工事 | 鉄筋加工組立工事、鉄筋継手工事 |
舗 | 舗装工事 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事 | アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事 |
しゅ | しゅんせつ工事 |
河川、港湾等の水底をしゅん |
しゅんせつ工事 |
板 | 板金工事 | 金属簿板等を加工して工作物に取り付け、又は工作物に金属製等の付属物を取り付ける工事 | 板金加工取付工事、建築板金工事 |
ガ | ガラス工事 | 工作物にガラスを加工して取り付ける工事 | ガラス加工取付工事、ガラスフィルム工事 |
塗 | 塗装工事 | 塗料、塗材等を工作物に吹き付け、塗付け、又ははり付ける工事 | 塗装工事、容射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事 |
防 | 防水工事 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 |
内 | 内装仕上工事 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、畳、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 | インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、畳工事、ふすま工事、家具工事、防音工事 |
機 | 機械器具設置工事 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事 | プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事(ガスタービン等)、集塵機器設置工事、トンネル・地下道等の給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事 |
絶 | 熱絶縁工事 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 | 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事 |
通 | 電気通信工事 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 | 有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事 |
園 | 造園工事 | 整地、樹木の植栽、景石の据付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事 | 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事 |
井 | さく井工事 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事 | さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事 |
具 | 建具工事 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取り付ける工事 | 金属製建具取付工事、サッシ取付工事、金属製カーテンウォール取付工事、シャッター取付工事、自動ドアー取付工事、木製建具取付工事、ふすま工事 |
水 | 水道施設工事 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 | 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事 |
消 | 消防施設工事 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取り付ける工事 | 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事 |
清 | 清掃施設工事 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 | ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 |
解 | 解体工事 |
工作物の解体を行う工事 |
工作物解体工事 |
上記の「許可業種の略称と工事内容」について、工事内容や工事の例示の中で類似しているものが幾つかあります。
類似した工事の区分の考え方については、国土交通省が「建設業許可事務ガイドラインについて」を定めており、このガイドラインの中で「許可業種区分の考え方について」が明示されております。
工事内容に関する区分(許可業種区分)の考え方の詳細は、こちらでご確認下さい。
(1)特定建設業許可
建設工事の発注者から直接、元請業者として受注した1件の建設工事について、下請負代金の合計額が消費税込みで4,500万円 (建築一式工事は消費税込みで7,000万円)以上となる契約をして、下請負業者に施工させる場合に必要な許可です。
なお、この金額については、2023年1月1日施行の改正建設業法施行令によるものです。改正施行前の2022年12月31日までは、消費税込みで4,000万円(建築一式工事は消費税込みで6,000万円)以上でした。
特定建設業許可が必要な下請負代金の金額には、元請負業者が提供する材料の価格は含みません。
(2)一般建設業許可
特定建設業許可が必要ではない工事のみを施工する場合に必要な許可です。
(1)都道府県知事許可
一つの都道府県内にのみ営業所を置いて建設業を営む場合に必要な許可です。
(2)国土交通大臣許可
複数の都道府県に営業所を置いて建設業を営む場合に必要な許可です。
「営業所」とは
「本店」、「支店」又は「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」をいい、請負契約の見積り、入札、請負契約など実質的な行為を行う事務所を指します。
2020年(令和2年)10月1日以降の申請から、社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)に適切に加入していない事業者からの申請については、不許可となります。
現在、許可を受けている事業者であっても、更新や業種追加などを行う際に、社会保険に適切に加入していないと不許可になります。
適切に加入しているとは、概ね次の通りとなります。
a.申請者が法人(会社)の場合は、健康保険と厚生年金保険ともに加入しており、従業員を雇用している場合は、雇用保険にも加入していること。
但し、国民健康保険組合に加入している事業者については、従来通り「健康保険については適用除外」が認められています。
b.申請者が個人事業者で、5名以上の従業員を雇用している場合は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つとも加入していること。
但し、国民健康保険組合に加入している個人事業者については、従来通り「健康保険については適用除外」が認められています。
c.申請者が個人事業者で、4名以下の従業員を雇用している場合は、雇用保険に加入していること(健康保険、厚生年金保険への加入は、任意です。)。
一人も雇用していない個人事業者は、従来通り「健康保険、厚生年金保険、雇用保険の全てについて、適用除外」が認められています。
次のイまたはロに該当する者がいること。
イ.常勤役員等(法人なら常勤役員(会計参与・監査役・監事を除く)、個人事業者なら事業主本人又は支配人のこと。以下同じ。)のうち、1名が次の1から3までのいずれかを満たしていること。
1:建設業に関し、5年以上の経営業務管理責任者としての経験を有している者
2:建設業に関し、権限の委任を受けて経営業務管理責任者に準ずる地位にある者として、5年以上の経験を有している者
3:建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位にある者として、6年以上の経営業務管理責任者を補佐する業務経験を有している者
ロ.常勤役員等のうち1名が次のⅰとⅱのいずれかに該当する者であり、なおかつ、この常勤役員等を直接補佐する者として、次のa・b・cに該当する者を置いていること(つまり、「常勤役員+補佐者a・b・c」をセットとして置いていることが要件となります)。
ⅰ.建設業に関し2年以上役員経験があり、かつ、5年以上役員の職制上直下にある管理職として、建設業の財務管理・労務管理・業務運営の業務について経験を有する者
ⅱ.5年以上の役員経験があり、かつ、このうち2年以上建設業に関する役員の経験がある者
【常勤役員等を直接補佐する者の要件】
a:許可申請を行う会社において、建設業の財務管理に関する業務経験を5年以上有し、組織体系上及び実態上常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け、財務管理に関する業務を常勤で行う者
b:許可申請を行う会社において、建設業の労務管理に関する業務経験を5年以上有し、組織体系上及び実態上常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け、労務管理に関する業務を常勤で行う者
c:許可申請を行う会社において、建設業の業務運営に関する業務経験を5年以上有し、組織体系上及び実態上常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け、業務運営に関する業務を常勤で行う者
aからcは、同一人でも3名別々でも結構です。但し、直接補佐される常勤役員等と兼任はできません。
「経営業務管理責任者としての経験」とは、営業取引上対外的に責任を有する地位にいたことを意味し、具体的には、株式会社・有限会社の取締役、委員会設置会社の執行役、合同会社の業務執行社員、合資会社・合名会社の無限責任社員、法人格がある組合等の理事、個人事業主などを指します。
イ-2に記載した「権限の委任を受けて経営業務管理責任者に準ずる地位にある者」とは、執行役員等を指します。
イ-3に記載した「経営業務管理責任者を補佐する業務経験」とは、経営業務管理責任者に準ずる地位にあって、建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験を指します。
ロ-ⅰ及びロ-ⅱに記載した「役員」には、監査役、会計参与、監事は含まれません。
ロの【常勤役員等を直接補佐する者の要件】に記載した「財務管理に関する業務」、「労務管理に関する業務」、「業務運営に関する業務」とは、それぞれ次のような経験を指します。
①.「財務管理に関する業務」とは、建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどを行う部署におけるこれらの業務
②.「労務管理に関する業務」とは、社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きを行う部署におけるこれらの業務
③.「業務運営に関する業務」とは、会社の経営方針や運営方針を策定、実施する部署におけるこれらの業務
注:いずれの場合も、許可申請を行う会社においての経験が求められていますので、他社での財務管理経験、労務管理経験、業務運営経験は認められていません。
「経営業務管理責任者」、「常勤役員等を直接補佐する者」は、常勤且つ専任性が求められていますので、次の点に注意して下さい。
1.職務の性質上、主たる営業所(本店)に勤務となりますので、主たる営業所から著しく遠距離で常識上通勤不可能な住所地(片道で概ね2時間超の場所)に住んでいる者は認められません。
2.次に該当する者は認められません。
ⅰ.他社の「経営業務管理責任者」・「常勤役員等を直接補佐する者」・「専任技術者」・「政令第3条使用人」となっている者
ⅱ.他社の代表取締役・常勤取締役・清算人に就任している者、他社の従業員として勤務している者、他に個人事業を行っている者
次のいずれかの条件を満たした方が該当します。
イ: 許可を受けようとする業種に対応した指定学科を卒業後、一定年数以上の実務経験がある者
①.大学、短期大学、高等専門学校を卒業した場合は、卒業後3年以上の実務経験があること
②.専修学校の専門士、高等専門士を称するものである場合は、卒業後3年以上の実務経験があること
③.高校、中等教育学校、専修学校を卒業した場合は、卒業後5年以上の実務経験があること
ロ: 学歴を問わず10年以上許可を受けようとする業種に関する実務経験がある者
ハ: 許可を受けようとする業種に対応した国家資格などを有する者
ニ: 次の一級技術検定種目の第一次検定又は第二次検定に合格したことにより、大学の指定学科卒業した者と同等とみなされ、検定合格後3年以上、許可を受けようとする業種に対応した実務経験がある者(2023年7月1日から施行)
a.技術検定種目が土木施工管理、造園施工管理の合格者については、土木工学を卒業したものと同等とみなされます
b.技術検定種目が建築施工管理の合格者については、建築学を卒業したものと同等とみなされます
c.技術検定種目が電気工事施工管理の合格者については、電気工学を卒業したものと同等とみなされます
d.技術検定種目が管工事施工管理の合格者については、機械工学を卒業したものと同等とみなされます
ホ: 次の二級技術検定種目の第一次検定又は第二次検定に合格したことにより、高校の指定学科卒業した者と同等とみなされ、検定合格後5年以上、許可を受けようとする業種に対応した実務経験がある者(2023年7月1日から施行)
e.技術検定種目が土木施工管理、造園施工管理の合格者については、土木工学を卒業したものと同等とみなされます
f.技術検定種目が建築施工管理の合格者については、建築学を卒業したものと同等とみなされます
g.技術検定種目が電気工事施工管理の合格者については、電気工学を卒業したものと同等とみなされます
h.技術検定種目が管工事施工管理の合格者については、機械工学を卒業したものと同等とみなされます
注1:指定学科卒業後の実務経験、10年以上の実務経験、検定試験合格後の実務経験による場合で、且つ、同一人物が2つ以上の業種を申請しようとする場合は、各々の実務経験期間は重複することができません。
注2:ニとホを具体例で説明すると、一級又は二級の造園施工管理の第一次検定或いは第二次検定に合格した場合は、土工工学を卒業したものと同等とみなされるので、土木工学を指定学科としている「とび・土工工事」などの業種について、規定年数以上の実務経験があれば専任技術者要件を満たしているということになります。
なお、2023年6月30日までは、上記の具体例で説明した一級又は二級の造園施工管理の第二次検定に合格した者(一級又は二級造園施工管理技士)は、造園工事業の専任技術者要件しか満たしていないことになっていました。
注3:ただし、ニとホの場合は、指定建設業である土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種と、電気通信工事業は専任技術者の要件から除外されていますので、検定試験合格後、規定年数以上の実務経験があっても、これらの業種の専任技術者として申請することはできません。
技術者の指定学科の詳細は、こちらでご確認下さい。
一般建設業の許可業種と該当する国家資格などの詳細は、こちらでご確認下さい。
「専任技術者」は、常勤且つ専任性が求められていますので、次の点に注意して下さい。
1.配置される営業所から著しく遠距離で常識上通勤不可能な住所地(片道で概ね2時間超の場所)に住んでいる者は認められません。
2.次に該当する者は認められません。
ⅰ.他社の「経営業務管理責任者」・「常勤役員等を直接補佐する者」・「専任技術者」・「政令第3条使用人」となっている者
ⅱ.他社の代表取締役・常勤取締役・清算人に就任している者、他社の従業員として勤務している者、他に個人事業を行っている者
法人である場合は、その法人、その法人の役員、相談役、顧問、発行済株式の5%以上の株式を有する個人株主、出資総額の5%以上に相当する出資をしている個人出資者、営業所長などの政令第3条使用人が、個人事業者の場合は、事業主本人又は支配人が、請負契約に関して、不正又は不誠実な行為をする恐れが明かな者ではないことを指します。
次のいずれかに該当しなければなりません。
i.自己資本が500万円以上あること
ii.500万円以上の預金残高がある又は金融機関から500万円以上の融資を受けられること
iii.直前5年間建設業許可を受けて継続して営業していた実績があること
先程ご説明の通り、「適用除外」を受けている事業者を除き、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に適切に加入していなければ、許可されません(許可申請自体が受理されません)。
欠格要件の詳細については、こちらでご確認下さい。
- 補足説明 -
(1) 「経営業務の管理責任者」について
a.イ-1に記載した条件には、建設業法施行令第3条使用人(従たる営業所の責任者のことです)として登録されていた方を含みます。この経験に基づいて申請をしようとする場合は、建設業法施行令第3条使用人として登録されていた期間に対応した「建設業許可申請書類控え一式 (原本)」と、登録されていた期間に対応した「建設業変更届出書類一式(原本)」の両方を申請先の都道府県庁担当部署等に提示の上、これらのコピーを提出する必要があります。
b. イ-2、イ-3、ロのいずれかに記載した要件に基づいて申請しようとする場合は、事前に都道府県庁担当部署等に必要書類を提示して、確認(認定)を受ける必要があります。
(2) 「専任技術者」について
ロの10年以上の実務経験には、緩和措置を受けられるケースがあります。
a.土木一式工事の実務経験と、4つの専門工事(とび・土工工事、しゅんせつ工事、水道施設工事、解体工事に限る)のいずれか一つの実務経験年数合計が12年以上あり、且つ、4つの専門工事のいずれか一つの実務経験年数が8年を超える場合は、該当する専門工事の経験年数が10年に満たなくても、専門工事の専任技術者としての実務経験が認められます。
b.建築一式工事の実務経験と7つの専門工事(大工工事、屋根工事、内装仕上工事、ガラス工事、防水工事、熱絶縁工事、解体工事に限る)のいずれか一つの実務経験年数合計が12年以上あり、且つ、7つの専門工事のいずれか一つの実務経験年数が8年を超える場合は、該当する専門工事の経験年数が10年に満たなくても、専門工事の専任技術者としての実務経験が認められます。
c.とび・土工工事と解体工事の実務経験年数合計が12年以上あり、且つ解体工事の実務経験年数が8年を超える場合は、解体工事について経験年数が10年に満たなくても専任技術者としての実務経験が認められます。
d.大工工事と内装仕上工事の実務経験年数合計が12年以上あり、且つどちらかの実務経験年数が8年を超える場合は、その工事について経験年数が10年に満たなくても専任技術者としての実務経験が認められます。
(4) 「財産的基礎又は金銭的信用を有していること」について
i.自己資本とは
法人の場合: 直近の決算書にある貸借対照表の「純資産の部」の合計額を指します。設立されてから決算期を未だ1回も迎えていない場合は、資本金の額を指します。
個人の場合:青色決算報告書にある貸借対照表の(「元入金」+「事業主借」+「青色控除前の所得金額」)-「事業主貸」+「負債の部にある利益留保性の「引当金及び準備金」により算出されたものを指します。
【注意】
個人で自己資本額が規定以上あることを証明する場合は、青色決算報告書も地方整備局又は都道府県へ提出することが求められる場合があります。
青色申告を選択していない方、青色申告を選択しているが貸借対照表の記載がない又は不十分な場合、この方法で証明は受けられません。
ii.500万円以上の預金残高又は500万円以上の融資が受けられることについて
a.預金残高について
通帳のコピーは認められていませんので、申請者名義の口座がある金融機関から残高証明書の発行を受けて下さい。この残高証明書に記載されている残高日は、申請書を提出する日から数えて1ヶ月以内のものでなければなりません。また、複数の金融機関から証明書の交付を受ける場合は、残高日は同一日として下さい。
b.融資が受けられることについて
現在の融資残高を示すものではないので、金融機関から融資証明書の発行を受けて下さい。この融資証明書に記載されている証明の基準日は、申請書を提出する日から数えて1ヶ月以内のものでなければなりません。また、複数の金融機関から証明書の交付を受ける場合は、証明の基準日は同一日として下さい。
iii.「直前5年間建設業許可を受けて継続して営業していた実績があること」について
これは、更新、業種追加、許可換え新規、般・特新規の各申請時だけの取り扱いです。
対象者及び条件は、一般建設業の場合と同じです。
次のいずれかの条件を満たした方が該当します。
イ: 許可を受けようとする業種に対応した一級の国家資格を有する者
ロ: 一般建設業の専任技術者要件イ・ロ・ハ・ニ・ホに該当し、且つ元請として請け負い、請負代金が4,500万円以上(昭和59年10月1日以前については1,500万円以上、平成6年12月28日以前については3,000万円以上)の工事について、2年以上の指導監督的な実務経験がある者
ハ: 国土交通大臣特別認定者
一般建設業の内容と同じです。
申請書を提出する直前の決算について、次の全てに該当していなければなりません。
i.欠損の額が資本金の20%を超えていない
ii.流動比率が75%以上あること
iii.資本金が2,000万円以上あること
iv.自己資本が4,000万円以上あること
先程ご説明の通り、「適用除外」を受けている事業者を除き、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に適切に加入していなければ、許可されません(許可申請自体が受理されません)。
一般建設業の内容と同じです。
- 補足説明 -
(2) 「専任技術者」について
①.指定建設業として定められた次の7業種の専任技術者は、一級の国家資格者、技術士法による技術士、国土交通大臣特別認定者のいずれかである必要があります。
a.土木一式工事
b.建築一式工事
c.電気工事
d.管工事
e.鋼構造物工事
f.舗装工事
g.造園工事
②.「2年以上の指導監督的な実務経験がある者」とは、24ヶ月以上、建設工事の設計又は施工の全般について、元請負業者の工事現場主任または元請負業者の工事現場監督のような立場で、工事の技術面を総合的に指導した経験がある者をいいます。
なお、24ヶ月以上とは、該当する工事の請負契約書などに記載されている工期のことであり、工期の合計期間を指します。
(4) 「財産的基礎又は金銭的信用を有していること」について
ii.流動比率の計算方法は次の通りです。
流動資産÷流動負債×100
iv.自己資本の内容は一般建設業と同じです。
現在、どこの行政庁からも許可を受けていない場合に行う申請です。過去に許可を受けていたが、更新の申請し忘れなどの理由により、許可が失効してしまい、改めて申請する場合も新規許可申請に該当します。
許可の有効期間は5年間です。許可日から5年目に対応する日の前日をもって満了します。
引き続き許可を受けて営業する場合は、満了日の90日前から30日前(都道府県によっては、満了日の60日前から30日前)までの間に申請を行って下さい。
現在受けている許可業種以外に業種を増やしたい場合に行う申請です。
例えば、現在、「建築一式工事」の許可を受けているが、「大工工事」の許可も受けたいという場合です。
一般建設業許可から特定建設業許可に変更する場合、特定建設業許可から一般建設業許可に変更する場合に行う申請です。
一般建設業から特定建設業へ変更する場合は、専任技術者の資格要件、財産的基礎要件といった一般建設業の許可基準以上のものが求められており、これを満たさなければ許可されません。
特定建設業許可を受けた後、財産的要件を含む特定許可の基準を満たさなくなった場合は、一般建設業許可に変更しなければなりません。
都道府県知事許可から国土交通大臣許可への変更、国土交通大臣許可から都道府県知事許可への変更、或いは現在受けている知事許可から他の都道府県知事許可へ変更する場合に行う申請です。
知事許可から大臣許可へ変更する場合は、新たに置くこととなった都道府県内の営業所毎に政令第3条使用人(支店長・営業所長等、代表者から契約締結権限を委任された者をいう)と専任技術者を共に配置しなければなりません。
大臣許可から知事許可へ変更する場合は、廃止対象となる営業所の廃止届を事前に提出してからの申請となります。
他の都道府県知事許可へ変更する場合は、申請書類に添付する確認資料が都道府県毎に異なりますので、事前に確認してから申請を行って下さい。
更新許可と業種追加許可の2つの申請を同時に行う場合、更新許可と般・特新規許可の2つの申請を同時に行う場合、般・特新規許可と業種追加許可の2つの申請を同時に行う場合、更新許可と業種追加許可に加えて般・特新規許可の3つの申請を同時に行う場合の申請のことです。
これらの申請を行う場合は、知事許可については許可の有効期限60日前までに、大臣許可については許可の有効期限6か月前までに行って下さい。
都道府県知事許可なのか国土交通大臣許可なのか、申請しようとする許可はどのような内容なのかによって、登録免許税や申請手数料の金額は異なります。
登録免許税、申請手数料の金額については、こちらでご確認下さい。
当事務所に許可申請手続きをご依頼の場合は、上記の登録免許税、申請手数料の他に、報酬などを頂戴いたします。
事前にお問い合わせ下さい。お待ちしております。