会社設立手続|佐藤行政書士事務所

会社設立手続|佐藤行政書士事務所

千葉市中央区の佐藤行政書士事務所。営業許可申請を考慮した定款作成などの会社設立手続、役員変更手続について、お気軽にご相談下さい。
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佐藤行政書士事務所 043-304-6453

 

会社を設立するにあたり

このページの目次

平成18年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社を設立することは出来なくなりました。
平成18年4月30日までに設立された有限会社は、株式会社の形態をとりながら存続します(これを「特例有限会社」といいます。)
なお、合名会社や合資会社は従来と変わりなく設立できます。
ここでは、設立手続が多い株式会社を例にしてご説明します。

 

平成18年5月1日以降の会社設立手続についての変更点

会社法施行に伴い、大きく変更になった点についてご説明します。

類似商号調査が不要

会社法施行前まであった「同一市区町村内に類似した商号且つ類似した目的をもつ会社の登記はできない」という規制は廃止され、類似商号調査は不要になりました。
但し、既に登記されている他の会社と同じ所在地に、その会社と同じ商号で登記することはできません。
また、会社法施行後も、「不正競争防止法」により、広く認識されている他人の商号や、商品名と同じものを使用することは、その使用差止請求や損害賠償請求の対象となりかねませんので、十分ご注意下さい。

 

目的の具体性調査が不要

会社法施行前今までは、行いたい事業目的に具体性があるかどうか登記申請の際、審査対象となっておりましたが、具体性については審査対象ではなくなりました。
但し、「適法性」については、会社法施行後も審査対象となっています。

 

最低資本金制度が廃止

会社法施行前まであった、「株式会社の資本金は、1,000万円以上」という最低資本金制度は廃止されました。ですから、1円でも設立はできます。
但し、許認可が必要な事業を行う場合は、その許認可要件で資本金額に条件があるケースがあるので、定款作成の前に当事務所又は許認可を審査する機関に確認をして下さい。

 

保管金証明書が不要

資本金を払い込んだ証明として金融機関が発行していた「出資払込金保管証明書」が不要となりました。
但し、発起人個人が自分の口座に資本金を払い込んだ「預金通帳のコピー」、「取引明細書(ネットバンキングの場合)」などの資本金を払い込んだことを明らかにする書類は必要です。

 

株式会社設立手続きの流れ

会社法施行前とほとんど変更はありませんが、前述の内容を踏まえてご説明します。
次に記載している順序で手続きを行って下さい。

 

商号・会社所在地・目的の決定

類似商号調査は不要ですが、テナントビル等に会社を設置する場合は、同一所在地に同一商号が登記されているかどうかを確認されることをお勧めします。
また、目的の具体性は考慮する必要はありませんが、適法なのかどうかは調べる必要はあります。
なお、設立後直ぐに、営業許可や登録の申請を行う場合はもちろんのこと、将来的に営業許可や登録を考えている場合は、申請する許可や登録に対応している内容を目的に入れておく必要があります。
営業許可や登録の申請を行う時に、「この目的では、不十分なので、申請は受理できない。目的の変更登記を行ってから再申請するように。」ということにならないためにも、目的の内容は営業許可などに対応しているか十分確認して下さい。

但し、「貨物運送事業」や「旅客運送事業」については、会社設立後直ぐに、許可申請を行う場合を除き、設立当初の目的には「貨物運送」や「旅客運送」に関する内容は、事業目的に入れないで下さい。
将来、「貨物運送事業」や「旅客運送」を行う場合は、許可申請する準備を行う最中に、「目的変更登記」を行って下さい。
無許可で「貨物運送」や「旅客運送」を行っていたと認定されることを防ぐためです。

 

会社の実印、定款の作成

定款を作成する際は、特に「株主総会以外の機関について」及び「取締役などの任期」を参考にして下さい。

 

公証人役場での定款認証

社の本店所在地がある都道府県内の公証人役場で認証を受けなければなりません。
例えば、会社の本店所在地が東京都中央区に置くものの、発起人の方が千葉県市川市にお住まいで、ご自宅から近い市川公証人役場で認証を受けるということはできません。
なお、電子認証で行う場合でも、本店所在地の都道府県内にある公証人役場に対して行わなければなりません。

 

出資する資本金の払い込み

金融機関発行の出資払込金保管証明書は不要ですが、払い込んだことを明らかにする書類は、設立登記の添付書類として必要です。
なお、会社法施行前と同様に、出資払込金保管証明書の発行手続を行っても結構です。

 

設立登記申請書類の作成

会社の本店所在地を管轄する法務局に提出するための登記申請書類を作成して下さい。

 

設立登記申請書の提出

会社の本店所在地を管轄する法務局へ提出して下さい。

 

登記の完了

登記が完了しましたら、会社の印鑑証明書を取得する際に必要な印鑑カードの交付申請、会社の印鑑証明書や履歴事項全部証明書の交付申請を行って、証明書を取得して下さい。

 

登記完了後、本店を管轄する税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ会社の設立届を提出したり、健康保険・厚生年金保険加入手続、雇用保険・労災保険加入手続などを行う必要があります。

 

登記申請に関して
法律の規定により、行政書士が業務として登記申請することは出来ませんが、当事務所は司法書士と業務提携しておりますので、書類作成→登記→許認可申請まで一貫して行います。
将来、許認可の取得をお考えならば、許認可も考慮に入れて、事業目的決定などの手続きを進めさせて頂きます。

税務手続に関して
会社の決算書類作成、税務申告書の作成またその相談については、提携している税理士をご紹介いたします。

 

社会保険、労災保険などの手続に関して
健康保険・厚生年金保険への加入手続、雇用保険・労災保険への加入手続、毎年行う保険料の算定またその相談については、提携している社会保険労務士をご紹介いたします。

 

用語について

会社法の施行により、従来のと変更になった用語、新しく規定された用語についてご説明します。
機関設計をされる際、ご参考にして下さい。

 

大会社

資本金5億円以上(又は直近事業年度の負債合計額が200億円以上)の株式会社のことをいいます。
これについては、会社法施行前も施行後も変更はありません。

 

公開会社

会社法施行により、新しく規定されたものです。定款で株式譲渡制限規定(株式を譲渡する時は取締役会や株主総会などの承認が必要であるという規定)を設けていない株式会社のことをいいます。
公開会社といっても、株式を店頭公開していることや上場していることとは、関係ありません。
なお、公開会社ではない会社のことを、このサイトでは便宜上「非公開会社」と呼んでおります。

 

会計参与

会社法施行により、新しく規定されたものです。取締役と共同して会社の計算書類を作成して会計参与報告書を作成することが職務です。
また、会社で保存する計算書類とは別に、会計参与自身もその会社の計算書類を5年間保存することが義務付けられております。
会計参与は、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人でなければ選任することができません。
任期は、その会社の取締役と同じ任期となります。会計参与を置く場合は定款で規定しなければなりません。

 

監査役

選任資格自体は、会社法施行前も施行後も変更はありません。会社法施行により、変更になったのは次の点です。

 

a.大会社、中小会社など会社の規模に関係なく、取締役に対する業務監査権と会計監査権の2つの権限を持つと規定されました。また、会社の規模に関係なく取締役会への出席義務も規定されましたので、取締役会議事録に署名捺印(記名捺印)しなければならなくなりました。
但し、非公開会社で監査役会・会計監査人を置かない場合に限り、会計監査権に職務を限定することができます。この場合は、定款で職務権限を限定することを規定しなければなりません。会計監査に限定された監査役は取締役会への出席義務はありませんので、議事録への署名捺印も不要です。

 

b.従来は、委員会設置会社を除き、必ず置かなければならなかったのですが、会社の機関形態によっては置かなくてもよくなりました(詳細は、「株主総会以外の機関について」でご説明しております)。

 

監査役会

会社法施行前から設置が認められておりましたが、大会社(みなし大会社を含む)しか設置できませんでした。会社法の施行により、会社の規模に関係なく設置することができるようになりました。
設置する場合は、3名以上の監査役が必要で、その過半数は社外監査役(過去にその会社や子会社の取締役、会計参与、執行役に就任したことがない者)でなければなりません。
監査報告書の作成はもちろんのこと、常勤監査役の選任や解任を行います。

 

会計監査人

今回の会社法施行前から設置が認められておりましたが、大会社(みなし大会社含む)しか設置できませんでした。会社法の施行により、会社の規模に関係なく設置することができるようになりました。
選任資格は、公認会計士又は監査法人に限定されております。

 

委員会

会社法施行前から設置が認められておりましたが、大会社(みなし大会社含む)しか設置できませんでした。会社法の施行により、会社の規模に関係なく設置することができるようになりました。
指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つの委員会を指しております。委員会を設置した場合は、取締役会で1名又は2名以上の執行役を選任しなければならず、2名以上の執行役を置いた場合は、その中から代表執行役を選任しなければなりません。
取締役は業務執行ができず、取締役会は取締役や執行役の職務を監督し、執行役を選任、解任する機関になります。
なお、各委員会とも3名以上の委員で組織されなければならず、その過半数は社外取締役(子会社も含め業務執行権のない取締役、執行役でない者、過去にも執行権がある取締役や執行役に就任したことがない者のこと。
その会社とは利害関係がない中立的な立場の取締役のことをいう。)でなければなりません。

指名委員会

株主総会に提出する取締役の選任や解任に関する議案内容を決定する委員会

監査委員会

取締役や執行役の職務内容を監査すること及び会計監査人の選任や解任、不再任に関する議案内容を決定する委員会

報酬委員会

取締役や執行役の報酬内容を決定する委員会

執行役

取締役会で選任され、業務決定や執行を行う。

 

株主総会以外の機関について

会社法の施行に伴い、株主総会以外で株式会社に設置が義務付けられるようになった機関は、取締役のみです。株主総会・取締役以外の機関の設置などについては、その会社が公開会社であるのかどうか、大会社であるのかどうか、取締役会を設置するのかどうかなどによって変わり、会社で自由に設計することができるようになりました。パターンに分けてご説明します。

 

非公開会社で大会社以外の場合

取締役が1名の場合

監査役を選任することができる。

会計監査人を選任した場合は設置義務があります。

会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任することができる。

 

取締役が2名以上で取締役会を設置しない場合

代表取締役を選定することができる。

選定しない場合は、取締役各自に代表権があります。

監査役を選任することができる。

会計監査人を選任した場合は設置義務があります。

会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任することができる。

 

取締役が3名以上で取締役会を設置する場合

取締役会を設置するので、取締役を3名以上選任しなければならない。
代表取締役を1名以上選定しなければならない。
監査役を1名以上選任しなければならない。

注1:会計参与を選任した場合は、監査役の選任は任意となります。
注2:会計監査人を選任した場合は、会計参与を置いても設置義務があります。

監査役会を設置することができる。

注1:会計参与を選任した場合は、監査役の選任は任意となるため、監査役を置かなければ設置することができません。
注2:設置する場合は、監査役は3名以上必要になります。

会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任することができる。

 

委員会を設置する場合

取締役を3名以上選任しなければならない。
取締役会を置かなければならない。
代表取締役を選定することができず、代わりに、執行役を選任しなければならない。
監査役を選任できない。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

非公開会社で大会社の場合

取締役が1名の場合

監査役を選任しなければならない。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

取締役が2名以上で取締役会を設置しない場合

代表取締役を選定することができる。

選定しない場合は、取締役各自に代表権があります。

監査役を選任しなければならない。
監査役会を設置することができる。

設置する場合は、監査役は3名以上必要になります。

会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

取締役が3名以上で取締役会を設置する場合

取締役会を設置するので、取締役を3名以上選任しなければならない。
代表取締役を1名以上選定しなければならない。
監査役を選任しなければならない。

会計参与を選任しても選任義務があります。
「非公開会社で大会社以外の取締役会設置会社」とは、この点が異なります。

監査役会を設置することができる。

設置する場合は、監査役は3名以上必要になります。

会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

委員会を設置する場合

取締役を3名以上選任しなければならない。
取締役会を設置しなければならない。
代表取締役を選定することができず、代わりに、執行役を選任しなければならない。
監査役を選任できない。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

公開会社で大会社以外の場合

「公開会社」の場合は、次の2つの場合とも、「取締役会」を設置しなければなりません。

委員会を設置しない場合

代表取締役を選定しなければならない。
監査役を選任しなければならない。

会計参与を選任しても選任義務があります。

監査役会を設置することができる。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任することができる。

 

委員会を設置する場合

代表取締役を選定することができず、代わりに、執行役を選任しなければならない。
監査役を選任できない。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

公開会社で大会社の場合

「公開会社」の場合は、次の2つの場合とも、「取締役会」を設置しなければなりません。

委員会を設置しない場合

代表取締役を選定しなければならない。
監査役を3名以上選任しなければならない。

会計参与を選任しても選任義務があります。

監査役会を設置しなければならない。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任することができる。

 

委員会を設置する場合

代表取締役を選定することができず、代わりに、執行役を選任しなければならない。
監査役を選任できない。
会計参与を選任することができる。
会計監査人を選任しなければならない。

 

取締役などの任期について

会社法施行前までは、株式会社の取締役は、定款で定めれば最長で「就任後2年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで」、監査役については同様に最長で「就任後4年内の最終の決算期に関する定時株主総会終結時まで」とされておりましたが、会社法施行により変更されました。
なお、「設立後最初の取締役及び監査役の任期は1年を超えることができない」との規定は、会社法施行により削除されました。

 

取締役・監査役の任期

取締役の任期
原則

「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。
定款で何も規定しない場合は、この任期が適用されます。
なお、委員会設置会社の場合は、「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。

 

定款で任期を定める場合

会社の規模、形態にかかわらず、定款で定めることにより、原則の任期を短縮することができます。
「非公開会社で委員会を設置していない会社」に限り、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と延長することができます。

「公開会社」や、「非公開会社で委員会を設置している会社」は、短縮する場合を除き、原則の任期が適用されます。

 

監査役の任期
原則

「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。

 

定款で任期を定める場合

原則の任期を短縮することはできません。
「非公開会社」の場合に限り、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と延長することができます。

「公開会社」は、原則の任期が適用されます。

 

会計参与の任期

会計参与の任期を置いている、その会社の取締役と同じ任期となります。

 

会計監査人の任期

「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」です。

 

執行役の任期

「選任後1年以内終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結後に招集される最初の取締役会終結時まで」です。
ただし、定款で、この任期を短縮することができます。

 

設立手続で必要となる費用について

会社法の施行に伴い、有限会社の設立ができなくなったことは最初にご説明した通りです。株式会社を設立する際の費用についてご説明いたします。

 

①.定款認証用収入印紙代40,000円

電子認証の場合は、無料です。但し、認証機関発行の電子証明書、専用ソフトウェアが必要となり、専用ソフトウェアの年間ライセンス使用料がかかります。

 

②.公証人報酬額50,000円(電子認証の場合でもかかります)

その他に定款謄本代750円/通がかかります。電子認証の場合は、同一情報の提供代720円、情報の同一性証明700円がかかります。

 

③.登録免許税(法務局へ納付)
資本の額の1,000分の7で計算した額を納付します。この計算式で計算した結果、15万円未満となった場合は、15万円を納付します。従いまして、登録免許税の最低額は15万円となります。

 

◎当事務所にご依頼の場合は、別途報酬額を頂きます。なお、登記申請は司法書士でなければ行えませんので、定款などの書類作成後に提携している司法書士へ責任をもって委託します。

 

特例有限会社、株式会社の変更手続について

特例有限会社に関する手続

役員変更や本店移転などの変更手続は、会社法施行前と変わりはありませんが、合併手続については注意が必要で、特例有限会社を存続会社とすることや、有限会社を設立するような新設合併はできません。
変更する際の決議ですが、会社法施行以前の「社員総会」ではなく、「株主総会」で決議することとなります。
なお、特例有限会社の取締役などの任期については、会社法施行後も上限はありません。

 

商号変更による株式会社への移行について

会社法施行により、特例有限会社は商号に「有限会社」と付いているものの、実態として株式会社となっております。
「商号変更」することで株式会社へ移行できます。株主総会で、商号変更も含めた定款変更決議をし、その議事録など法務局から求められている書類を提出します。なお、この時に「有限会社の解散」の申請も行います。
この時点で完全に株式会社となります。

許認可を受けている特例有限会社が、株式会社へ移行した場合は、「商号変更などの届出」と併せて、「許可証・免許証・認可証の書換交付申請」も許認可を行った行政庁へ提出する必要があります。
詳しくは、当事務所にご相談下さい。

 

株式会社に関する手続

特に、機関設計に関する変更手続についてご説明します。
会社法施行以前は、取締役3名以上でそのうち代表取締役が1名以上必要(委員会設置会社を除く)でしたし、監査役も1名以上必要(委員会設置会社を除く)でした。
会社法施行後も以上のような要件が必要なのは、「非公開会社で取締役会を設置する会社」又は「公開会社で委員会を設置しない会社」のみとなりました。

 

取締役、代表取締役、取締役会の変更について

「株主総会以外の機関」をご参照の上、変更が可能な会社形態かどうかご確認下さい。取締役の人数、取締役会の廃止(又は設置)などは定款変更を決議した上、登記を行わなくてはなりません。
許認可を受けている会社の場合は、取締役の減員を行う際、減員対象となる取締役が許認可要件として求められている「管理者」や「責任者」などに該当していないかご確認下さい。
減員対象の取締役が「管理者」や「責任者」であることを十分に確認をせずに減員してしまった結果、許認可要件を満たさず、「廃業せざるを得なくなった」ということにはならないようにして下さい。
許認可を受けている場合は、減員しただけでも変更届が必要になります。
代表取締役を選定しないと変更した場合は、取締役の人数に関係なく、各自会社を代表することとなります。
このような会社の登記事項証明書には、取締役A・代表取締役A、取締役B・代表取締役Bと同一人物が重複して記載されます。
取締役を1名にした場合でも、取締役A・代表取締役Aと重複して記載されます。

 

監査役、監査役会の変更について
監査役設置に関する変更

監査役を設置しないことも可能ですが、可能な会社形態かどうか前述と同様にご確認下さい。
「監査役を設置しない」に変更する場合は、監査役に辞任して頂き、定款変更を行った上、登記を行わなくてはなりません。
許認可によっては、監査役も役員扱いとされ、監査役がいなくなった旨の変更届が必要となります。

 

監査役の権限変更

監査役の権限を「会計監査に限定する」こともできますが、次のいずれにも該当する会社でなければなりません。
①.監査役会を設置していない会社であること。
②.会計監査人を選任していない会社であること。
③.非公開会社であること。

 

監査役会設置に関する変更

監査役会を設置するには、会社の規模にかかわわらず、3名以上の監査役が必要で過半数は社外監査役でなければなりません。
委員会設置会社の場合は、監査役を選任できませんので、監査役会は設置できません。
逆に、監査役会を廃止するには、監査役を2名以下に減員するか、監査役そのものを選任しないという規定に定款を変更する必要があります。

 

会計参与の変更について

会計参与は会社の規模や形態に関係なく、全ての株式会社に置くことができます。
但し、税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人でなければ会計参与にはなれません。
置く場合は、定款変更が必要となり、有資格者であることの証明書も必要となります。また、設置した場合は、会社の計算書類の備置場所も登記事項とされています。
逆に廃止する場合も、定款変更が必要となります。
廃止する際に注意が必要なのは、「非公開会社で取締役会設置会社」の場合です。
監査役の代わりに会計参与を置いていた会社は、監査役を新たに選任しない限り、会計参与を廃止することはできません。

 

会計監査人の変更について

会計監査人は、大会社や委員会設置会社に設置が義務付けられておりますが、それ以外の会社は任意に置くことができます。この場合も定款変更が必要です。
廃止する場合も株主総会で定款変更を決議しなければなりませんが、大会社や委員会設置会社は会計監査人を廃止することはできません。

 

株式会社における取締役、監査役の任期に関する手続

会社の規模や形態にかかわらず、定款で定めることにより取締役の任期を原則の任期より短縮することが可能です。しかし、監査役の任期は短縮することができません。
「非公開会社で委員会を設置しない会社」に限り、取締役・監査役とも、最長で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで」と変更することができます。
変更する際は、定款変更となりますので、株主総会で決議しなければなりません。4年や10年といった任期の年数は登記事項証明書には記載されませんので、原則の任期以外を採用した場合は、社内で十分管理なさって下さい。
十分に管理ができず、任期が切れた状態を放置していると、株式会社の場合は、最後に何かしらの登記を行った時から12年以上が経過した時点で、法務大臣の権限により強制的に解散させられてしまいます(これを「みなし解散」といいます)。登記の申請を怠ったために、「みなし解散」の対象となってしまいますので、注意が必要です。

 

許認可事業に関する注意点
1.役員の改選登記を怠ったことにより任期切れの状態となっている状態では、許認可の申請を受け付けないというものもあります。
2.「管理者」や「責任者」である役員が、改選登記の際、「重任」ではなく、「就任」との登記がされていた場合は、許認可の更新などは行わないというものもあります。
3.前述の「みなし解散」の対象となった会社で、法務局長の職権で「解散登記」が行われた場合は、その時点で許認可が失効します。

前述のとおり、取締役や監査役の任期の年数は、登記事項ではないので、登記事項証明書には記載されません。
このため、定款で定めた任期を採用している会社の場合は、登記事項証明書を見ただけでは、次の取締役や監査役の任期がいつ切れるのか改選時期を把握することはできません。
そこで、「みなし解散」を防ぐためにも、任期を変更した際の株主総会議事録や、前回の改選手続を行った際の株主総会議事録を、登記事項証明書と合わせて、保存期間に関係なく社内で重要書類として大切に保管なさって下さい。